H27.3.14 一人会社の社長の相続相談
社長一人の会社の相続はどうすればいいのかという相談が最近多いです。
同時に、これから社長の引退に向けて事業をどのように承継していけばいいかという相談も多いです。
会社の事情によっていろいろなパターンがあるのですが、
すでに相続が発生している場合で、相続人の間で争いがなく、会社を継ぐ人が存在するのであれば手続きはそう難しくありません。
まず、株式会社ですと、会社を持つ権利である株式を相続することになります。
遺言がなければ、株式は法定相続で相続されますが、相続人で話し合って(遺産分割協議)一人の相続人に取得させることもできます。
会社の株式を誰が持っているかというのは、会社の登記簿謄本(登記事項証明書)には載っていません。発行された株式の数が書いてあるだけです。
株主をだれが持っているかわからない場合、本当は、株主名簿を作成して会社に保管しておかないといけないのですが、ない場合が多いかと思います。
税理士さんと顧問契約をしているのであれば、株主の状況は税務書類のなかにあるはずなのですぐに判明するでしょう。
それでもわからないければ、あとは、会社を設立したときに作成した定款(原始定款)に出資した人と出資した金額と株式の数が書かれています。
設立してから株を譲渡したり、増資して株式を増やした場合はそれぞれ契約書や登記書類の控えを確認します。
上場していない通常の会社で株券を発行している会社は少ないかと思います。
株主の状況が判明し、亡くなった社長が全株式を持っていたのであれば、その株式を相続人が相続します。
遺産分割で相続人のうち一人に集中させる場合は、遺産分割協議書にそのことを記載しておきます。
株主名簿も作成しておくべきでしょう。
次に、会社の社長をだれにするかを決めます。
それまで社長一人で経営していたとしても、これからは複数の人間で会社を継続することもできます。
また、株式は相続人が相続したが、会社の経営そのものは相続人以外の第三者、たとえば長年勤めてきた従業員に任せるといったことも可能です。
そういったことは株主が決定します。
株主は株主総会を開いて、取締役を選び、さらに社長をだれにするのかを決めていきます。
(このあたり、選任の仕方は、定款の見直しも必要な場合があります。)
株主総会と言っても、株主が一人あるいは相続人数人の場合、自宅のテーブルでとか、喫茶店で、とか適当なものでしょうが。
あとは役員の交代を登記するだけです。
登記には、上記の内容を書いた株主総会議事録や取締役の決定書、就任承諾書などの書類を作成し、本店所在地の管轄の法務局に申請します。
そうすると、役員の欄に、前社長の死亡、新社長の就任、といった登記がなされます。
あとは、取引先や金融機関、行政機関にも届出て引継ぎをしていくことになるわけです。
詳しい手続きについては、当サイト内の
会社社長の相続と商業法人登記もご覧ください。