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成年後見人の選任の決定がなされ、通知書の送達後2週間経過すると確定します。

確定後、2週間ほどすると、法務局で後見登記事項証明書を取得できるようになります。

就任後、基本的に1か月以内に裁判所にご本人の財産目録や今後の収支の予定などを報告しなければなりません。

就任後はまずこれが忙しくなります。

本人や、それまで本人を何らかの形で支援してきた方から、一切の財産書類などを引き継ぎます。後見申立に至っている場合、通常は支援者がいるものです。

親族はもちろん、施設関係者、ケアマネージャー、役所の担当者、地域包括視線センター、あんしんさぽーとなどがそうですね。

引継ぎが終わると、関係各所に後見人の届け出をします。

役所の介護保険、後期高齢、健康保険、生活保護、年金事務所、市税事務所・・。

金融機関、保険会社、証券会社など・・・。

被後見人が死亡すると、後見人の業務は当然終了となります。

もっとも、死亡したからといって、いきなり何もしなくなるわけではなく、死後の清算や報告、相続人への引継ぎを行わないといけません。

清算の前に、身寄りのない被後見人であれば、火葬の段取り等の死後事務を行うこともよくあります。

我々専門職が後見人に就く場合、親族の間が疎遠だったり、身寄りのない方のことが多いので、死後事務を行うことは非常に多いかと思います。

さて、死後事務、精算や家庭裁判所への報告などが終わると、相続人に被後見人の財産関係を引き継ぐことになりますが、

中には相続人がいない場合や、相続人から引継ぎを拒まれる場合、あるいは、相続放棄してしまう場合もあります。

H28.2.3 後見業務。ご本人に会いに行く

月の初めは、割と時間があくことが多いので、被後見人本人に会いに行くようにしています。

先日は、一日にまとめて3人にお会いしてきました。

会いに行くのは、ご本人の様子を確認しにいくためと、介護サービスの担当者の方にもご本人の状況を聞いたりするためです。

まずお一人目、

最近グループホームに入所した方。

この方は、なんとなく私のことは覚えているようです。なんか見たことあるなあ、という感じでしょうか。

要介護1で、ひたすらお元気でした。

私を警戒しているのでしょうか、とにかく、よくしゃべる。

独居のころに比べると、顔色は非常によくなったと思います。

食事もちゃんととって、お風呂にもちゃんと入っているそうで、よかった。

他の入居者が静かなので、この方だけが少々やかましく感じましたが・・。

職員の方にあいさつをして、次へ。

お二人目、

最近、大腿骨骨折で入院中。ご本人が好きな花束をもっていきました。

面会に行くと、リハビリ中。

リハビリが痛いのでしょう、リハビリの担当の方に怒号が。

「おまえなにやっとんじゃ〜!やめんかい!もうええからむこう行け!」

・・でかい声が聞こえてきます。

私が顔を出すと、「あんた誰?」いつものことです。

私がなだめたところで、聞きそうもないです。

看護士さんにご本人の様子を聞くと、「こんなまずいもん食えるかい!」と食事も大変のようです。

丁重に挨拶をして撤収。

H28.1.28 被後見人の資産が乏しい場合の、後見人の報酬

司法書士や弁護士などの専門職が成年後見人に就任する場合、

依頼者(申立人である親族の方など)が一番気になるのは、成年後見人に支払う報酬がどのくらいなのかということでしょう。

親族である申立人を後見人候補者として申し立てた場合でも、候補者が後見人に選任されるとは限りませんから、第三者が選任された場合はなおさらです。

被後見人に資産があまりない場合、

つまり、年金などの収入があるものの、施設費や生活費で使いきってしまい、他に財産がない場合、
後見人の報酬を、親族が支払わなければならないのではないかと、思われるのではないでしょうか。

H28.1.19 被後見人の施設探し

私が担当している独居暮らしの被後見人の方、

万引き行為や、迷惑行為があったため、近隣の住民からも苦情がよくあり、頭を悩ませていました。

以前から、よい入所先がないか、探していたのですがなかなか条件の合うところがなかったり、本人が嫌がったり。

生活保護のかたなので、保護費の範囲内で受け入れてもらえるかどうかがポイントでした。

H27.12.28 成年被後見人の自宅の売却

私が成年後見人になっている、被後見人のマンションの売却が終わりました。

この方はすでに施設に入所しており、自宅マンションは空き家でした。

年金収入が少なく、貯蓄がなく、このまま施設にいると、数か月でお金が底をつく状態でした。

施設費を捻出するため、マンションを売却せざるを得ません。


もちろん、成年後見人が、被後見人の不動産を勝手に処分することはできません。

裁判所に許可をもらう必要があります。


H27.9.1 相続登記の長期間放置の痛い結末

ずっと昔に発生した相続登記が放置され、今になってようやく手をつけようとした事案。

登記名義人である被相続人の死亡は昭和34年。


死亡時点で子どもはなく、配偶者と直系尊属である母親が相続人。

それ以降、配偶者の死亡、母親の死亡により連続して相続が発生するも、放置。

今から2年ほど前に一度、自力で相続登記をしようとしたが挫折、それから放置。

重い腰を上げての、相続登記の依頼。

相続人調査の結果、

代襲相続や数次相続が重なりに重なって、現時点での相続人はなんと18人。

あったこともない人が大勢。

まだこれだけなら、なんとか連絡をとって遺産分割協議が整えば、特定の相続人の単有にできそうなもの。

18人のうち、親子で相続人となっている方がいて、その子が未成年なので、特別代理人の選任申立が必要。これはクリアできそう。


ところが、18人に膨れ上がった相続人の1人がなくなっていて、その相続人が不存在というのが判明。

H27.8.15 被相続人の登記簿の住所氏名が役所のミスで間違っていたら

相続登記を申請するにあたり、戸籍や住民票などの調査をすると、被相続人の、つまり登記簿上の所有者の住所や氏名がつながらないことがあります。

登記簿上の所有者と、被相続人の同一性を証明するために、被相続人の最後の住所が記載されている住民票の除票の住所と登記簿上の住所が異なるときは、被相続人の戸籍の附票などで住所の沿革をつける必要があります。

ところが、今回の相続登記では、戸籍の附票に記載されている住所そのものが役所のミスで間違っていたのです。

被相続人が売買で購入したこの不動産、昭和の初めぐらいの登記です。

具体的には、被相続人の住所が「下新庄」となっているのに、過去の戸籍の附票の記載は「中新庄」と書いてあったのです。まだ、コンピュータ化されるまえの改正原附票です。

調べてみると、この地域は昔、新庄村というところから、上新庄町と下新庄町に分かれ、現在の東淀川区に至っていたことが判明しました。中新庄などという所在は存在しなかったのです。

そこで、本籍地に連絡し、調査を依頼しましたが、戸籍の附票の訂正には時間がかかるとのことでした。

H27.7.11 親族はいるのに相続人がいないという不思議

相続登記を放置すると、ややこしいことになるといわれる典型的な事案です。

亡くなった方に子がない場合によく見られます。

簡略して説明すると、

相続人というのは、

第1順位が子、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹で、配偶者は常に相続人です。

亡くなった方に、配偶者がなく、子がなく、両親祖父母などの直系尊属がなく、兄弟姉妹もいない場合は、相続人が不存在となります。

放置された相続登記で見られるのは、たとえば

亡くなったAさん、配偶者、子がいませんでした。

直系尊属は全員死亡しており、Aさんの相続人は兄弟姉妹のBさん、Cさんです。

Bさんにはすでに先立たれた配偶者、子Dさんが一人。

そして、Aさんの死亡後、Bさんが死亡。

Bさんの相続人は子Dさんだけです。

Dさんは未婚で子がいません。

そして、その後、Dさんも死亡。

Dさんの相続人は、いません。

Dさんから見て、Cさんは、おじにあたり親族ですが、相続人ではないのです。

H27.6.27 相続登記と権利書

不動産の相続登記のご相談に来られると、対象の不動産についてたくさんの権利書や権利書のような書類を持参される方がいらっしゃいます。

権利書は、昔(不動産登記法改正前)は登記済証といって売渡証書や申請書副本などの書類に法務局の「登記済」という赤いはんこが押されたものが綴じてある冊子、現在は登記識別情報通知という法務局が発行した書類が綴じてある冊子を指します。

その冊子自体は、登記を担当した司法書士事務所が作成したものです。

各司法書士事務所がオリジナルでつくった、事務所名入りの権利書の冊子が多く、中にはキンキラキンのすごいゴージャスな権利書冊子も見たことがあります。バブリーな時代を感じましたけど。

権利書のような書類、というのは、よくあるのが、不動産の登記名義人の住所を移転したときの登記完了証などを綴じた冊子、とか、抵当権抹消をしたときの登記完了証などを綴じた冊子、です。

これらのものは、権利書ではありません。

何らかの登記のつどこういった書類を渡され、しかしそれがどういう書類なのかの説明もろくに聞いていないので、結局何が大事で何が不要なものなのかさっぱりわからないという状況です。

そのほかには、売買契約書や、金銭消費貸借契約書の控えや、建物表示登記の書類や、いろいろ・・、かさばって捨てるに捨てられずといった感じです。

そもそも、特殊な事案を除いて、基本的には相続登記に権利書は使わないのです。

権利書がなくても、相続登記はできます。そこが売買などと違うところです。

もっとも、ご相談の際には権利書を持参していただくと、相続の対象になる不動産の把握ができますので助かるのです。

H27.6.13 相続放棄と駐車場の解約、自動車の処分

被相続人が多額の借金を抱えていたために相続放棄をした。

あとのことは相続放棄をしたので関係ない。借金も払わなくてよい。

というのは当然の話なのですが、実際には相続放棄をしたあとに悩ましい問題がいろいろあるものです。必ずしもすべて解放されるとは限りません。

被相続人には、中古自動車を所有し駐車場を借りてしました。

相続放棄の時点で、処分するのはまずいのではということで、しばらくそのままにしていました。

当然、駐車場代はかさみます。

中古自動車はおそらく価値はないので、処分しても問題はなさそうでした。

自動車の査定をとって価値のないことの証拠として残しておいて、処分し、換価できれば金銭で保管しておけば、法定単純承認にはならず、保存行為として大丈夫ではないかと思ったのですが、

処分するにも、廃車手続きをするにも相続人としてしなければならないのが腑に落ちないようでした。

相続放棄をした以上、相続人ではなかったことになるので、相続人として手続きをしたくない、というのです。陸運局に問い合わせても、相続放棄したのなら廃車手続きをする人がいないので無理だとのことでした。相続放棄をしたことを伝えれば、そういう回答になるのでしょうね。

しかし、相続放棄をしたからといって、被相続人の遺産を放置してもいいかというとそういうわけにもいきません。相続財産を管理する必要があります。

そんな無責任なことをすれば、放置自動車だらけになってしまいます。

H27.3.14 一人会社の社長の相続相談

社長一人の会社の相続はどうすればいいのかという相談が最近多いです。

同時に、これから社長の引退に向けて事業をどのように承継していけばいいかという相談も多いです。

会社の事情によっていろいろなパターンがあるのですが、

すでに相続が発生している場合で、相続人の間で争いがなく、会社を継ぐ人が存在するのであれば手続きはそう難しくありません。

まず、株式会社ですと、会社を持つ権利である株式を相続することになります。

遺言がなければ、株式は法定相続で相続されますが、相続人で話し合って(遺産分割協議)一人の相続人に取得させることもできます。

会社の株式を誰が持っているかというのは、会社の登記簿謄本(登記事項証明書)には載っていません。発行された株式の数が書いてあるだけです。

株主をだれが持っているかわからない場合、本当は、株主名簿を作成して会社に保管しておかないといけないのですが、ない場合が多いかと思います。

税理士さんと顧問契約をしているのであれば、株主の状況は税務書類のなかにあるはずなのですぐに判明するでしょう。

それでもわからないければ、あとは、会社を設立したときに作成した定款(原始定款)に出資した人と出資した金額と株式の数が書かれています。

設立してから株を譲渡したり、増資して株式を増やした場合はそれぞれ契約書や登記書類の控えを確認します。

上場していない通常の会社で株券を発行している会社は少ないかと思います。

H27.3.8 実印が必要な場面・相続手続きそのほか

日本は本当に印鑑社会だなあと、この仕事をしていると毎回思います。

何かにつけて押印を求められますね。

今日も相続に関係して遺産分割協議書に署名押印をもらいに行っていました。

そういうとき、ご本人が遺産分割協議書に押印せず、われわれ司法書士に代わりに押印してくれと言われることが多いです。

普段印鑑を押しなれていないので、陰影がうまく映らないことが多いからですね。

陰影がきれいに映らないと、印鑑証明書との照合ができず、手続きが進められないこともあるからです。

下手な押印で、何回も押しなおして書面が汚くなってしまうのもいやですし。

結構、ちょっとしたコツみたいなものがあるのです。

印鑑には実印と、それ以外の認印に分かれます。

実印と認印の違いは、簡単に言えば証拠力・証明力の違いです。

実印で押印された書面は、本人が本人の意思で押印したことがわかりますから。

一般に重要な契約書面には実印の押印を求められることが多いでしょう。

金融機関の契約書なんかでは実印を求められることが多いのではないでしょうか。

司法書士も実印を扱うことが非常に多い仕事です。

なかでも不動産登記や商業登記などの登記手続きでは実印の押印が定められているものが多くあります。

実務で実印が必要な例は以下のようなものです。

H27.2.18 後見業務・被後見人Aさんの自宅訪問

たびたび登場する被後見人Aさん。

後見人になって9ヶ月。

後見申し立ての相談をはじめに受けたのは平成25年の末なので、そこから入れると、1年超のおつきあい。

後見申立書類の作成を私が行い、私が後見人候補者として申立ました。

子どもは3人いるのですが、全く疎遠で音沙汰なく、後見人にはなってもらえそうにありませんでした。

もともと生活保護の方でしたし、財産はまったくありません。ですから、後見人報酬ももらえそうにありません。

市長申立てではないので、市の報酬助成も受けられないでしょう。

それでも受けることにしました。

問題行動が多く大変な方ですが、不思議なことに手間がかかって大変なのに変に愛着がわきます。

H27.2.12 被後見人の施設探し3

被後見人Aさんの施設探しの続きです。

精神科の先生から、別のグループホームを紹介してもらい話を聞きにいきました。

Aさんも一緒です。

Aさん、朝からかなりのハイテンション。

職員の方とも延々と一方的にしゃべりまくります。ハワイアンの歌も歌い出してます。

拒否反応でしょうか。

グループホームは、少人数で生活の支援を受けながら共同生活をするところです。共同生活ができる方でないと困るわけです。

また、ここのグループホームはドアロックがかかっていないので、入所者が出入りすることができるようです。外出時にはヘルパーさんが同行されるそうですが。

勝手にふらふら出かけられるのも困ります。

H27.1.23 遺産分割協議だけ終わらせたが相続登記は後回し、の危険

相続人の間で、話し合いもまとまり、遺産分割協議書も作成し、相続人全員の実印、印鑑証明書もそろってひと安心。

これで終わらせてしまう事案が結構あります。

相続登記の相談を受けたら、実はずいぶん以前に遺産分割協議がまとまっていて、相続登記だけを依頼したいというものです。

相続登記自体は、過去に作成された遺産分割協議書があって、相続人の実印押印、押印当時の印鑑証明書があればもちろん可能です。遺産分割協議書作成時の相続人が死亡してしまったとしてもです。

相続登記につかう遺産分割協議書につける相続人の印鑑証明書は、3ヶ月以内などという有効期限はありませんので。

しかし、遺産分割協議書はあるものの、実印がなかったり、印鑑証明書がないなど要件を満たさない場合は、改めて作成する必要があります。

ところで、相続登記を後回しにする危険はないのでしょうか。

H27.1.21 被後見人の施設探し2

11月6日の記事で、被後見人Aさんの施設探しのことを書きました。

担当のケアマネージャーさんと相談しながら、いくつかの有料老人ホームを見に行きました。

民間の施設です。

施設には様々な種類のものがあります。有料老人ホーム、グループホーム、特養。。

素人からすると、区別がよくわからないことが多いです。

特養はいっぱいで入れそうになく、一応申し込みはしていますが。。

今回の条件は、費用面。

生活保護受給者ですので、保護費の限度内ですべて納めてもらえると約束してくれる施設を探してもらいました。

H27.1.14 建物の表題部だけ登記されている建物の相続

未登記の不動産がある場合の相続をどうするべきかは、サイト内の記事に記載していますが、相続物件の中には表題部の登記だけがなされていて、権利の登記がされていない不動産が存在することがあります。

不動産の登記というのは、登記簿謄本を見ると、上部に記載されている「表題部」と、その下以降に記載される「権利部」に分かれます。

「権利部」はさらに「甲区」(所有権に関するもの)と「乙区」(所有権以外の権利に関するもの)に分かれます。

不動産の登記簿を新たに作成するとき、まずは「表題部」から登記申請を行います。

「表題部」は不動産そのものの形状や位置などの物理的な現況を表します。

建物であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積などです。

これは土地家屋調査士が専門に扱う登記業務ですが、この表題部の登記だけを行って、その後になされるべき権利の登記がされずに放置されていることがあるのです。

表題部には所有者の住所、氏名が記載された欄があります。

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