被後見人が死亡すると、後見人の業務は当然終了となります。
もっとも、死亡したからといって、いきなり何もしなくなるわけではなく、死後の清算や報告、相続人への引継ぎを行わないといけません。
清算の前に、身寄りのない被後見人であれば、火葬の段取り等の死後事務を行うこともよくあります。
我々専門職が後見人に就く場合、親族の間が疎遠だったり、身寄りのない方のことが多いので、死後事務を行うことは非常に多いかと思います。
さて、死後事務、精算や家庭裁判所への報告などが終わると、相続人に被後見人の財産関係を引き継ぐことになりますが、
中には相続人がいない場合や、相続人から引継ぎを拒まれる場合、あるいは、相続放棄してしまう場合もあります。
今回は、相続人はいるものの、まったく被後見人とは関りがなかったため、全員が相続放棄をしたという事案でした。
全員が相続放棄すると、当然相続人が不存在になり、財産を引き渡す相手がいなくなります。
被後見人の財産は、預貯金のほかに不動産もありました。
不動産は自宅マンションですが、マンションの中にはもちろん家財道具などの残置物もあります。
引継ぎができない場合でも、後見業務は終了できることにななっていますが、やはり通帳や権利書を保管しておかないといけないのは感情的にもストレスです。
そこで今回は相続財産管理人の選任申立を行いました。
元成年後見人である私を申立人として申立、相続財産管理人(弁護士)が選任されました。
相続財産管理人選任申立の予納金は割と高いですが、相続財産からの支弁を認めてもらいました。
相続財産管理人に財産関係の資料を引き継ぎすっきりしました。
このあとは、相続人の捜索などの手続きを経て、特別縁故者がなければ国庫に帰属することになるでしょう。