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不動産の相続登記や、金融機関の相続手続き、株式等の金融商品の相続手続きすべてにおいて必要になるのが、戸籍です。
銀行などの窓口で相続手続きを申し出ると、必ず「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍」を集めるように指示されます。
その他、相続人全員の現在戸籍と、相続人全員の印鑑証明書も提出を求められます。
と、言われても、ピンとこない方が大半です。
戸籍は、本籍地の市町村役場で管理されています。
本籍地は、その人が戸籍を登録している場所ですが、住民票を見るとどこが本籍地なのかがわかります。
住所とは一致しないことが多いです。
戸籍には、現在戸籍、改製原戸籍、除籍といったものがありますが、もともとは改製原戸籍も除籍も現在戸籍だったものです。
戸籍の変遷(参考までに)
≪明治5年〜明治19年≫
明治5年式戸籍(壬申戸籍)
全国統一の身分登録制度発足、施行年の干支から壬申戸籍といわれます。
戸主と家族で更正された世帯単位に編製され、本籍、氏名、性別、続柄、身分関係のほか、華族、士族、平民なども記載されていたそうです。えた・非人の記載されたものも存在したようです。
この戸籍は、現在取得することはできません。
≪明治19年〜明治31年≫
明治19年式戸籍
様式が改製されたもので、記載事項は変わりません。現在取得できる最古の戸籍です。族称は削除されていますので見ることはできません。相続の実務ではよく取得することになります。
≪明治31年〜大正3年≫
明治31年式戸籍
これまでの戸籍と違って、「新たに戸主となった原因年月日」の記載欄が設けられました。
≪大正4年〜昭和22年≫
大正4年式戸籍
基本的には従前と同じ様式。
ここまでは旧民法です。明治31年の旧民法施行前は、当時の慣例により、戸主の死亡、隠居などによる家督相続がなされていました。旧民法でも、戸主を中心とする「家」制度を基本に制定され、戸主が死亡あるいは戸主権を喪失した場合の、戸主権の承継と、財産権の承継という家督相続が定められています。
他に、継親子、嫡母庶子、入夫婚姻、婿養子縁組といった「家制度」ならではの制度が多くあったのです。
現代でも、「長男が家を継がなければならない」、などといった会話を日常でも耳にすることがありますが、家制度の名残でしょうか。
家督相続においては、嫡出長男子単独相続(男子で、嫡出で、年長者を先にする)が原則だったのです。若い世代ではピンとこない方が大半でしょうね。
また、この当時の戸籍をみると、ひとつの戸籍に入っている人の数の多いこと。
家制度での「家」は、ひとつの会社のようなもので、戸主は家長、つまり社長です。
戸主は、家の統率者として家族に対する権限と義務が定められていました。
戸主は、家族(同籍者)を扶養する義務を負い、家族構成員の家籍変動に対する同意権、居所指定権などの権限を持っていたのです。
≪現行戸籍≫
昭和23年現行民法が施行されました。戸籍法も改正され。戸籍の改正作業が始まり、昭和41年に改正作業が終わりました。
家督相続は廃止され、配偶者が常に相続人になるなど民法は新しくなり、家制度はなくなり、戸籍の編製単位は現在のように、「夫婦及びこれと氏を同じくする子」となりました。
昭和55年には、法定相続分が現在のものに改正、兄弟姉妹の代襲相続人をその子に限定などの改正がありました。
≪戸籍のコンピュータ化≫
戸籍がコンピュータ化され、 戸籍謄本は全部事項証明書と名称が変わり、縦書きから横書きになりました。まだコンピュータ化されていないところもありますが、徐々に切り替わっていくと思います。
出生から死亡までの戸籍、といわれてもわかりにくいので、具体的に見ていきます。
戸籍は、本籍地のある市町村役場で取得できます。住所地と本籍地が違うことがありますので、よく確認しましょう。
戸籍の請求できる人は、戸籍に記載されている方とその配偶者、直系尊属、直系卑属だけです。
要するに自分から見て配偶者と、縦の血筋の人のものは取得できますが、自分の兄弟姉妹や配偶者の親族などの戸籍は取得できませんので、別途委任状が必要になります。
また、第三者請求ができる場合としては、債権回収や相続手続において使用目的に正当な理由がある場合に請求できます。
なお、謄本か抄本かの違いは、戸籍の内容全部のっているものが謄本で、一部の人のものだけ載っているものが抄本です。
謄本をとれば間違いありません。
まず、亡くなった方の最後の戸籍をとります(現在戸籍か、その戸籍に誰もいなくなっていれば除籍)。
最後の戸籍で、亡くなった方の出生日、死亡日、除籍になった日を確認します。
これから、その出生日の戸籍までさかのぼっていきます。
次に、その戸籍がいつできたのかを確認します。
戸籍の上のほうに、戸籍事項という欄があり、そこに改製日や転籍日、従前の戸籍などが載っています。改製日や転籍日にその戸籍が作られ、従前の戸籍が閉じられたことが分かります。
ここで、従前の本籍地が同じ場所なら同じ市区町村役場でで、異なる場所であれば、その場所の市区長村役場でひとつ前の戸籍を取得します。
こうして戸籍をさかのぼっていくと、死亡日から出生日まで、様々な戸籍を移っているのがわかります。
転籍や、婚姻、離婚、養子縁組などさまざまな場面で、戸籍に入ったり出たりするわけです。
これらの戸籍の出入りの日付はすべて戸籍上つながっていきますので、そういった日付を確認しながら出生から死亡日までの戸籍がつながるように収集していきます。
自分の親あるいは、祖父母の相続であれば、戸籍の収集は比較的簡単でしょう。
あとは、相続人の方の戸籍謄本をそろえれば大丈夫です。
被相続人の戸籍を集めていたところ、戸籍が古すぎて取得できない場合があります。
戸籍の保存期間が経過して、廃棄されているのです。
そういった場合、ないものは仕方がありませんが、かわりに、廃棄したことの証明書というのを発行してもらいます。
被相続人の出生から死亡までの戸籍については、出生時の戸籍がない場合、最低限6歳ぐらいまでは、さかのぼる必要があります。
6歳ぐらいまでさかのぼれば、子どもを生んでいる可能性は低いからです。
不動産の相続登記においては、廃棄証明書を取得し、相続人全員からの、「相続人は私たち以外にはいません。万が一、第三者から異議などがあった場合には、相続人全員で解決し、法務局には迷惑かけません。」といった内容の上申書(相続人の実印、印鑑証明書付き)を提出します。
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