H27.6.13 相続放棄と駐車場の解約、自動車の処分
被相続人が多額の借金を抱えていたために相続放棄をした。
あとのことは相続放棄をしたので関係ない。借金も払わなくてよい。
というのは当然の話なのですが、実際には相続放棄をしたあとに悩ましい問題がいろいろあるものです。必ずしもすべて解放されるとは限りません。
被相続人には、中古自動車を所有し駐車場を借りてしました。
相続放棄の時点で、処分するのはまずいのではということで、しばらくそのままにしていました。
当然、駐車場代はかさみます。
中古自動車はおそらく価値はないので、処分しても問題はなさそうでした。
自動車の査定をとって価値のないことの証拠として残しておいて、処分し、換価できれば金銭で保管しておけば、法定単純承認にはならず、保存行為として大丈夫ではないかと思ったのですが、
処分するにも、廃車手続きをするにも相続人としてしなければならないのが腑に落ちないようでした。
相続放棄をした以上、相続人ではなかったことになるので、相続人として手続きをしたくない、というのです。陸運局に問い合わせても、相続放棄したのなら廃車手続きをする人がいないので無理だとのことでした。相続放棄をしたことを伝えれば、そういう回答になるのでしょうね。
しかし、相続放棄をしたからといって、被相続人の遺産を放置してもいいかというとそういうわけにもいきません。相続財産を管理する必要があります。
そんな無責任なことをすれば、放置自動車だらけになってしまいます。
相続放棄を行って、相続人がだれもいなくなった場合、その財産や借金の清算は相続財産管理人が行い、最終的に財産が残った場合は国に帰属することになるのですが、そのためには裁判所に相続財産管理人選任の申立てが必要です。
そこまでするほどのことはないと、申立てを行わないことも多いでしょう。
そうなると、相続放棄をしたといっても、被相続人の遺産は管理しなければなりません。
今回は、相続放棄をしてから月日がだいぶ経っていますが、債権者からの連絡はまったくありません。
自動車も無価値です。
駐車場の大家さんと相談し、放置自動車の撤去と同じように、解体業者に引き取ってもらい自動車はスクラップにすることになったようです。
大家さんの知り合いの業者で、被相続人の名義のままで、所有者不明ということでできるとのことでした。
廃車手続きはせずにだそうです。
放置自動車で、所有者が不明の場合はそういう方法で撤去するそうです。
相続放棄的には、自動車を解体しても問題はないと思いますが、所有者不明で自動車を撤去解体するのに何か手続きはいらないのかなと感じました。
ちなみに、民法239条には