H27.8.15 被相続人の登記簿の住所氏名が役所のミスで間違っていたら
相続登記を申請するにあたり、戸籍や住民票などの調査をすると、被相続人の、つまり登記簿上の所有者の住所や氏名がつながらないことがあります。
登記簿上の所有者と、被相続人の同一性を証明するために、被相続人の最後の住所が記載されている住民票の除票の住所と登記簿上の住所が異なるときは、被相続人の戸籍の附票などで住所の沿革をつける必要があります。
ところが、今回の相続登記では、戸籍の附票に記載されている住所そのものが役所のミスで間違っていたのです。
被相続人が売買で購入したこの不動産、昭和の初めぐらいの登記です。
具体的には、被相続人の住所が「下新庄」となっているのに、過去の戸籍の附票の記載は「中新庄」と書いてあったのです。まだ、コンピュータ化されるまえの改正原附票です。
調べてみると、この地域は昔、新庄村というところから、上新庄町と下新庄町に分かれ、現在の東淀川区に至っていたことが判明しました。中新庄などという所在は存在しなかったのです。
そこで、本籍地に連絡し、調査を依頼しましたが、戸籍の附票の訂正には時間がかかるとのことでした。
法務局に問い合わせたところ、過去の土地台帳などから調査してくれて、結局、役所のミスが明らかだということで、そのまま登記してもらえることになりました。
ところが、
おまけに、
被相続人の名前まで間違って登記されたいました。
名前の一文字が、よく似た違う文字で登記されていました。
閉鎖された登記簿を調べ、権利書を見せてもらうと、どうやら、この不動産を購入したときの登記申請書の権利者の記載自体が間違って書かれているようでした。権利書の売渡証書に書かれている買主の記載が間違っているように見えます。
閉鎖謄本の記載も、権利書の記載も、まだ手書きの時代。
わざとなのか、そういうものなのか、達筆すぎて、読みにくい時代です。
しかし、被相続人の戸籍等からすると、明らかに間違っているのは明白です。登記申請書に書かれた氏名が間違っていたのに、そのまま法務局も登記したのでしょう。
これも、法務局に問い合わせたところ、間違いは明白なのを認めてもらいました。
職権で更正してもらえることになりました。
通常、こういった被相続人の住所や氏名の沿革がつかないときは、相続人全員の上申書と印鑑証明書や権利書のコピーが必要になるのですが、不要とのこと。ただ、一応、申請人の上申書だけくださいとのことでした。
今回の案件は、相続人の間でもめにもめたそうです。
依頼者がすべて自分で動いて、遺産分割協議書を作成したうえで、当事務所に相続登記申請を依頼された事案でした。
今更、相続人全員の上申書をとるのは難しい事案だったので、よかったです。
相続登記は、自分でやるという方もいらっしゃいますが、こういうところがややこしいところです。