未登記建物の相続について

不動産には登記がされていることが通常ですが、まれに建物の登記がされていないまま放置されていることがります。

わりと、田舎のほうの古い建物が多いのですが、都心でもたまに見かけることがあります。

居住用の建物そのもののほかに、車庫とか、納屋、ガレージなどというのもあります。

また、建物の表題部の登記はされているが、権利の登記(所有者などがだれかということを登記する部分)は登記されていないこともあります。

 

田舎のほうでは、昔から同じ住民だけで構成されていて建物の権利関係や土地の境界などについてあやふやなままなことも見受けられ、権利関係が複雑な都心部では考えられないような状況になっていることがあります。

 

 

  • 建物の登記がされていない
  • 昔、隣の家の人と土地を取り替えっこしたが登記はせずにそのまま
  • 昔の建物の登記がされていて建て直しをしたのに登記をせず、昔の登記が残っていて現況の建物と一致しない
  • 昔隣の人にお金を借りて抵当権を設定したが何代にもわたってその抵当権が消されずに放置されているいわゆる休眠担保権など
  • 知らないうちに隣の人が自分の土地の上に建物を建てていた

 

 

相続が始まっていざ相続手続きを行おうとした際に判明することが多く、 

こういった未登記建物などの問題がある場合、相続手続きとの関連でどうなるのでしょうか。

 古い建物の資料がなかったり、話の分かっている人がすでに亡くなっていて昔の状況が分からないなどといった問題もあります。

 

 

 

登記されていない建物も相続の対象になる

登記されていない不動産も相続財産ですから相続の対象になります。

遺言で相続する人が決められていればその相続人が取得しますし、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続する人を決めれば、その相続人が取得します。

 

ところが、登記がされていない建物というのは現物はその場所に建っているとしても登記簿上は建物が存在しないことになっています。

そして登記がされていないということは、簡単にいえば誰の建物かわからない、ということになります。

もちろん、この建物は自分のものだと主張する根拠がないということになります。

 

単にに相続しただけなら、極端にいえば何も不都合はないのかもしれません。

 

しかし、相続した建物を誰かに売却したいとか、相続した建物を担保に入れてお金を借りたいというような場合には登記がないとはじまりません。

登記があって初めて対外的にその建物の形状や構造、そして権利義務関係が公になるからです。

 

未登記建物の相続登記をする場合は、まず表示登記を行い登記簿を新たに起こすことから始まります。

この表示登記は、建物の所在地、木造瓦ぶきとか、鉄骨造りなどといった建物の種類、床面積などを図って建物の形状を登記することで、土地家屋調査士さんの業務になります。

通常、相続人の名前で表示登記上の所有者の名前が入ります。

 

その後に、司法書士によって、相続人の名前で所有権保存登記を行い、現在の所有者として権利登記がなされます。

 

 

建物を建て直したのに、取り壊した昔の建物の登記が残っているときの相続

昔、古い建物が建っていた。

その建物は登記がされていたが、取り壊し、建物を建て直した。

 

このような場合、建物を取り壊し、建て直した段階で古いほうは滅失登記を行って登記簿を閉鎖し、新たに新築建物の登記を起こすのが通常です。

 

滅失登記をするのは、建物の現物がなくなった以上古い建物の登記は消す必要があるからです。同じ所在地の同じ場所に古い建物と新しい建物の登記が重複しては、人が見たら具合が悪いですね。

 

古い建物のほうは、滅失登記をするのであれば、わざわざ相続人による相続登記をする必要はありません。どうせ存在しない建物ですし、相続登記の費用が無駄です。

 

新しい建物のほうは、上記の未登記建物の説明のとおり、改めて相続人による表示登記と所有権保存登記を行うことになります。

 

遺言や、遺産分割協議書の未登記建物の書き方

未登記不動産は登記簿がないので、登記簿から記載を引用できません。

しかし、遺言で相続させさたり、遺産分割協議を行うにうはその不動産を特定する必要があります。

 

その場合、固定資産評価証明書などの記載を引用して記載します。

未登記の場合、固定資産評価証明書には、所在、建物の種類、構造、床面積が記載されていることが多いですが、家屋番号はありません。

 

記載例として

 

不動産の表示

[未登記不動産]

所    在   大阪市淀川区西中島4丁目2番

種    類   居宅

構    造   木造瓦葺2階建

床 面 積    1階  82u34

           2階  82u34

 

といった具合になります。

もちろんこのままですぐに登記に使えるわけではありませんが、相続人の間で誰が何を相続するのかを明確にしておく必要があります。

 

未登記の建物と固定資産税の課税の関係

登記がされていなければ所有者がだれかわからないのに、なぜ固定資産税は所有者に課税されるのでしょうか。

登記を法務局が管理しているのに対し、固定資産税は市区町村が管理しています。

市区町村は独自に物件を調査把握しています。

 

建物の所有者が分からない場合は、まず土地の所有者あてに課税をするのだそうです。

建物所有者は通常、土地所有者と一致することが多いからです。

そして、建物所有者が土地所有者と異なることがわかった場合は改めて真の建物所有者に課税をし直すのだそうです。

 

固定資産税は、未登記の不動産だけでなく、相続登記をせずに放置していても、その相続人の誰かに課税されているはずです。

未登記の不動産や、相続登記を放置していても法務局からは何も指導は入りませんが、税金のほうは市町村からしっかり通知がやってきます。

 

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