すでに登記されている内容が誤っているということが、たまにあります。
相続登記でいえば、遺産分割協議をして協議書を作成し、遺産分割協議書のとおりに登記をしたが、実はその内容が間違っていたという場合があります。あるいは、遺産分割協議書とは違う内容の登記がなされている場合もあります。
司法書士が相続登記を行う際、遺産分割協議書も一緒に作成します。
しかし、相続人自身で遺産分割協議書を作成し、相続登記を行うと、本来の相続人の主旨が正確に反映されないことがあるのです。
そういった場合、間違って登記した内容を修正することになりますが、その修正のやり方には注意が必要です。
修正する前と後とで、同一性のある場合は更正登記、同一性のない場合は抹消登記になります。
同一性がある場合とは例えば、
A一人で相続登記したものを、AとBの共有に修正する場合、
反対に、AとB共有で相続登記したものをA一人に修正する場合などです。
同一性が認められない場合とは、
A一人で相続登記したものを、B一人の相続登記に修正する場合などです。
ただし、一旦AとBで共有の相続登記がなされたあとで、AとBにより遺産分割協議がなされA一人で取得することになった場合は、遺産分割を原因として、所有権の持分移転登記を行います。
遺産分割協議の効力は相続開始時にさかのぼることから、共同相続登記を更正登記することも理論的には可能ですが、実務的には持分に点の方法によります。
また、いったん有効に遺産分割協議が成立し、登記も済ませた後で、再度遺産分割協議を行うことも可能ではあります。
その場合は、すでになされた相続登記を抹消したうえで、改めて遺産分割協議書を添付して相続登記をやり直します。もともと有効な遺産分割協議による相続登記ですから、更正登記はできません。
そして、さらに注意しないといけないのは遺産分割のやり直しは、相続税の修正申告が必要になったり、贈与があったと判断されるおそれがあることです。
事案によって、相続登記を修正する方法が異なるのです。