ある日突然、他の相続人から遺産分割協議書に実印を押印して、印鑑証明書と一緒に返送してほしいという内容の書類が届くことがあります。
自分の身内の人が亡くなり、相続の手続が必要になった時、相続人の誰かが代表相続人として手続を進めることが多いのですが、自分自身が代表相続人になって進めたり、あるいは最初から相続手続きの話に参加していれば問題ありません。
ところが、相続人同士が疎遠になっている場合に、突然相続手続きをするので実印を押せと言われても困惑してしまうのはごく当り前です。
誰が代表相続人になってもいいのですが、たいていは亡くなった人に一番関与していた方や、遺産を多く取得するであろう人がなるのではないでしょうか。そして、その方が相続手続きのキーマンになるので、亡くなった方の遺産を管理しているはずです。
送られてくる遺産分割協議書の内容をよく確認せずに実印を押してしまうのは危険です。
本来もらえるはずであった法定相続分に相当する分までもらえなくなる恐れもあります。
そのような場合、まずは遺産分割協議書に書かれている内容をよく確認しましょう。
最低限確認する内容は、
- 誰が相続人なのか
- 記載されている遺産の種類
- 遺産のそれぞれの価額
- 遺産の分け方
1.誰が相続人なのかは、遺産分割協議書を作成する段階で戸籍調査をしているはずです。相続関係図が添付されていればそれで確認できるでしょう。
2.遺産の種類に漏れがないかどうかも確認します。たしかもっと他に預貯金口座があったはず・・。とか、他にも土地があったはず・・。株をやっていたはず・・。思い当たる遺産があれば、代表相続人の方に問い合わせます。
3.遺産分割協議書には、それぞれの遺産の価額が記載されていないこともあります。
預貯金についても、口座の種類は書かれていても、残高までは書いていないことが多いのです。
遺産のそれぞれの価額については、土地であれば路線価を調べたり、建物であれば固定資産評価額を調べられます。預貯金や上場株式であれば残高証明書をとってもらいます。
4.全体の遺産の内容と価額が判明したら、自分の法定相続分がどれぐらいになるのかがわかります。
特に遺産をもらいたいわけではないのであればいいのですが、あくまで法定相続分を主張するのであれば最低限これぐらいの確認をし、納得いかなければ、相続人全員でよく話をし、遺産分割協議書を作り直してもらう必要があります。
相続人全員の印鑑がそろわないと、何も手続は進みません。