H27.1.14 建物の表題部だけ登記されている建物の相続
未登記の不動産がある場合の相続をどうするべきかは、サイト内の記事に記載していますが、相続物件の中には表題部の登記だけがなされていて、権利の登記がされていない不動産が存在することがあります。
不動産の登記というのは、登記簿謄本を見ると、上部に記載されている「表題部」と、その下以降に記載される「権利部」に分かれます。
「権利部」はさらに「甲区」(所有権に関するもの)と「乙区」(所有権以外の権利に関するもの)に分かれます。
不動産の登記簿を新たに作成するとき、まずは「表題部」から登記申請を行います。
「表題部」は不動産そのものの形状や位置などの物理的な現況を表します。
建物であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積などです。
これは土地家屋調査士が専門に扱う登記業務ですが、この表題部の登記だけを行って、その後になされるべき権利の登記がされずに放置されていることがあるのです。
表題部には所有者の住所、氏名が記載された欄があります。
その表題部所有者が死亡した場合は、その相続人が直接相続人名義で所有権の保存登記をすることができます。
では、登記簿上は「表題部」の登記があるが、現実にはその建物は存在しない場合はどうでしょうか。
すでに取り壊されている場合です。
このような場合は、滅失登記といってその建物の登記簿そのものをなくしてしまう手続を行います。
本来なら、いったん相続人の名義で権利の登記を行ったうえで、滅失登記を行わないといけないように思われますが、
相続人は、相続人による所有権保存登記をせずに、相続人からの申請で滅失登記をすることが可能です。
また、表題部の登記だけがある建物を、相続せずに取り壊す場合も同じです。